珍しく本人が出演しない上にシリアスサスペンスで、舞台がロンドンだって。BSで偶然見たアレン作品は我ながら久しぶりすぎて、あれ?最近はこんなんなの?とちょっと戸惑ってしまう程のプロフィール。いや?半年程前に「さよなら、さよならハリウッド」をやっぱりBSで見てて、あと20分程で終わるってところで電話で呼び出されて最後まで見られなかったんだけど、こちらは2002年の作品で、ちゃんとアレンだった。キレてた。特に別れた女房と会話するシーンはいろんな意味でキレてた。
どうでもいいけどBSジャパンの「シネマクラッシュ」つう枠、番組表では8時55分開始になってるが、実際、9時までの5分間はずっと通販CMが流れるってどうよ。あれは5分枠の通販番組だろどう考えても!
気を取り直して。ウディ・アレンの「マッチポイント」を観ました。今回の私の失敗ポイントは(いきなり失敗談かよ)、鑑賞前に映画紹介のサイトを見すぎた。もちろんレビューではなく作品紹介サイトばかりなのでネタバレはないはずなのに、goo映画が映画の後半部分の展開をサラッと一言書いてくれてて、前半を全て無駄にした感じ…。まぁそんな個人的な事情はどうでもいいんですが。
物語のテーマは「やっぱ人生って運次第なの?」というところだそうです。角淳一の定番ネタですね。
主人公クリスが、生まれとは縁遠い英国上流階級に紛れ込み成り上がって行くプロセスが物語の大半。着実にソツなく、そこでの地位を固めて行くっていう見た目ありきたりなお話です。幸運な人生って案外そんなものかもしれない。(←負け惜しみ)
でも、この成功物語はこのお話の一面であって、その裏側には、自分では気付かないうちに、幸運の上にのさばり「結構コレこのままイケんじゃね?」という空しい程の優柔不断男に変容していくクリスの不愉快極まりない姿があります。
金持ちの考えてることにはイマイチついていけねーなーという表情をしていた頃のクリスにとって、努力と言えば泥臭いけれど、「運」だけじゃない何かを掴もうとしているノラという女性は共感の対象だったと思うのに、自分だけまんまと上流社会の仲間入りしちゃうと、もうただのエロい浮気相手にしか思えなくなっちゃって話は泥沼化する一方。地位とか金って怖い!持つもんじゃない!(←負け惜しみ)。
でも、このトントン拍子人生を「運」云々で片付けるお話ではありません。このこじれにこじれた裏の泥沼に決着をつけ、表の生活を守るために、浅はかだけど、やり過ぎ感満点の行動に出るクリスの「運だめし」が、クライマックスに用意されています。
冒頭のシーン。マッチポイントでテニスボールがネットに当たって真上に跳ね上がる。そのボールがコチラ側に落ちるか向こう側に落ちるかで互いの勝敗は決まり、しかも努力ではその瞬間を制することはできない。だから、いざという時に自分ではどうすることもできない「運」というものに左右される人生は不安でもある。そんな気持ちをすっかり忘れてしまったように見えるクリスのボールはどちらに落ちるのか。
でもどうやら、テニスと違って人生のネットにはアッチもコッチも無いようです。どちらに落ちれば誰が勝てるのか。それさえもわからないのが、ルールに守られたテニスゲームよりもずっと複雑な人生ってやつなのかしら。
最後の最後にウディ・アレンらしい軽妙なシーンもチラリと飛び出し「あ!アレン調だ!」と思えたのは、アレンファンへの小さなプレゼントね!きっと。






